息子が1歳6か月のとき、大のお気に入りだった3冊のうちの1冊
です(『くだものいろいろかくれんぼ』、『おおきなかぶ』とともに)。
一見して現代アートのような作品であり、美術にうとい私には
選べなかったであろうこの絵本は、友人からのプレゼントです。
良い友人をもちました。
親としては、もう少し大きくなったら見せてみるつもりだったのですが、
たしか1歳3か月ごろ、息子が本棚の奥から出してきました。すぐに、
主人公の「ゾウバス」に夢中になりました。考えてみれば、1歳男児は
ゾウもバスも大好きです。
にぎやかに、そして細密に描きこまれたページのなかからゾウバスを
みつけ、指さすことが、本書と息子との関わりの初めでした。やがて
成長とともに、「じじばば、いた」、「ブドウ、あった」、果ては米粒ほど
のイヌを指さし、「わんわん、ちっちゃいね!」。
毎回なにか新しい発見があるようです。きっと、これからも長く
楽しめることでしょう。
また、歌うような言葉の響きがとても美しく、思わず口ずさんでしまう
ほど。暗唱しておけば、お出かけ先などで読むものがないときの「エア
絵本」としても重宝します。
子どもの世界に歩み寄るのではなく、作者の世界に引き込んで
いくような力をもった作品です。忘れられない1冊になりそうです。