小学生の頃、賢治の作品集の中でも、読みやすかった作品で、印象に残っていた作品です。
最近ドングリ拾いに夢中の子ども達、秋といって、どんぐりを素通りしなかったことはかつてありません。
今年の秋は、「どんぐりと山猫」との娘との出会いという貴重な季節。
いくつか手にしたフェアの賢治作品の中から、これは、絵が怖いかな、と思っておそるおそる手渡したのですが、娘の反応はいつも私の予想を見事にかわします。
怖いかと思った馬車別当の顔も「なんでこの人片目ないの?」とは聞いてきましたが、そういうものとして受け入れている様子。
娘的には、絵というよりも、ストーリーを楽しんだようです。
「裁判」という意味も、園の劇で「アリス」の裁判を熟知して大好きだった娘のこと、よく理解していました。
(関係ありませんがアリスにはチェシャネコが出てくるので、裁判とネコの関係がおもしろかったようでもあり)
私としては、話を知っていた上で、絵を楽しんだので、当時思い描いていたドングリがそのまんまよりも、田島さんの絵によってなんとも不思議さを醸し出した味のあるドングリたちになっていることや、舞台となる「美しい金色の草地」で「まわりは立派なオリーヴ色のかやの木のもり」のページが風情ある描かれ方だなぁと感心しました。
帰り道の馬車の場面共々、現実から非現実に行って帰る通り道が、田島さんならではの色づかいで幻想的なタッチになり、素敵だと思いました。
フェアの作品を知ったお陰で、賢治の世界を色々な画家さんで楽しみなおしたいという魅力にとりつかれました。