ある土曜日の夕方、一郎の元に「めんどうな裁判にきてください」という内容の葉書が届きました。
差出人は、山猫でした。
一体全体どんな裁判なのか興味津々で行ってみると、 黄いろな陣羽織のようなものを着て緑いろの眼をまん円にした山猫が、立って待っておりました。
そしてさっそく、裁判が始まりました。
なんと、めんどうな裁判を起こした張本人は、どんぐりでした。
なんでも、一番えらいどんぐりは誰か?で争っているとか…
これは、確かに難しい問題かもしれないです。
私もえらいってなんだろう?と、思うことありますもの。
山猫が困って一郎に助けを求めますと、とんちのきいたアドバイスで、なんと一分半でこの難題を片付けてしまうのです。
これには…一本とられた!という感じで、私も妙に納得してしまいました。
そのまんまの意味ではなくて、えらいに定義などない、ということですね。いわば価値観。
なるほどなぁ〜と、感心してしまいました。
愉快で可愛らしいお話と絶妙にマッチしたダイナミックな絵が、とても素晴らしい作品ですね。
表紙の山猫からは、「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。 」と、うるさく聞こえてきそうです。
こんな微笑ましい裁判でいいの?と、クスッと笑える、愛嬌たっぷりのお話でした。