水溜りの中に、公園の景色や自分の姿を見つけたゆうちゃん。「あっちにはいってみようかな」・・・「めっきらもっきらどおんどん」や「となりのトトロ」など、子どもの想像力をかき立てるお話はたくさんありますが、こどもって、こんなに小さな空間でも、こんなに短い時間でも、ふっと「あっち側」の世界に入っていけるんだな、とあらためて気づかされました。私自身も、水溜りの記憶は残念ながら残っていませんが、三面鏡に映る世界が不思議でたまらず、ずーっとずーっと奥まで入っていけそうな気がして、時間も忘れて見入っていたことを、今でもよく思い出します。子どもの頃の気持ちに戻れそうな本。そして、娘の気持ちも、子どもの立場になってわかってあげられそうな気持ちになる本です。
娘は、水溜りに映っているのが、ゆうちゃんの姿だということが理解できない様子で、「あのおともだちは、ひとりぼっちなの?」と、聞いてきました。早速、庭に水をまいて、水溜りをつくり、「ほら、のぞいてごらん。もう1りのJが見えるよ」と、指差してあげると、娘も喜んで見入っていました。でも、庭の木にとまったハトの鳴き声を聞いて、「Jのハトさんは、でーでーぽーぽーってなかないよ。ほーほーってないてるよ」と言いました。子どもは、見たまま、聞いたままを、素直に言葉にするんですね。