なんとも貧相な、しょぼくれたライオンくんが表紙絵で歩いていました。タイトルを見て、『おとしものかあ〜。うちの子も落とし物の達人だよなぁ〜。』って思い、手にとってみました。
最初のページに女の子。ファンタジックなポエムの世界のような、文と絵で始まります。
女の子は、朝日を見にお散歩へ。女の子の名付けた“空見ヶ丘”で、ライオンくんが(ライオンくんは“ヤレヤレの丘”と名付けています)落とし物をして、泣いています。木の上からハシコウ(鳥)が、降りてきて。みんなで、落とし物捜しが始まります。一緒に捜してくれる子がいるって、心強いですよね。
ライオンくんの家のご先祖さまの肖像画。し号(おくり名)も添えた代々の王様の名前が笑えます。
さらに、このライオンくんの一日のスケジュールのページでもうニタニタしてしまいました。
どうも、このライオンくん、相当、父君に厳しく躾られたらしく、几帳面な性格です。無遠慮にもハシコウが、ライオン君の縛られているものに対し、本質を突く言葉で、バッサバッサと斬っていきます。この場面が、大人たちにもうけそうです。
絵が、本当に優しくて可笑しくて、あったかくて綺麗です。
私は、お花畑のページで癒されてしまいました。ライオンくんのおうちもステキです。
ライオンくんの表情も、落とし物捜しにつきあってくれる女の子も、ズケズケ言いながらもつきあうハシコウも、それぞれの性格を良く表したキャラクターだと思います。
表紙を広げて、一面でご覧になってみてください。きっと読みたくなると思います。
几帳面な性格故の失敗ともいえるラストですが、我が息子は、「ぼくとそっくりだ。」って。『なんだ、自覚症状はあるんだな。でも、年々重傷になってきて、だいじょうぶかな〜?』と私。
最後に、このライオンくんに王名をつけるなら、『うっかりおう ヨカッタ1世』なんて言うのはいかがでしょう?