教科書に掲載されていて有名な新美南吉の童話に、黒井健さんの淡い絵が寄り添っています。
いたずら好きのこぎつね、ごんと、百姓の兵十のおはなし。
兵十へのいたずらの償いとして、栗や松茸を家にこっそり届けていたごん。
でも、その思いは悲しいすれ違いとなるのです。
私も子どもの頃慣れ親しんだ文章でしたが、今回あらためてじっくり文章を追うと、
びっくりしました。
黙読で頭に響いてきた音声は、宿題の音読で読んでいた小学生時代の長男の声。
耳から入ってくるお話の奥深さを痛感させられました。
それだけ、洗練された文章なのですね。
実は、新美南吉の童話はいくつか絵本化されているのですが、
読み聞かせされている方の中には、これは絵本として書かれた文章ではないので、
絵本として読み聞かせることに否定的な方がおられます。
確かに一理ありますが、私は、場面背景など、昔の様子はやはり今の子どもたちには
理解しにくい言葉もあるので、控えめな絵でそっと手助けしてあげるのも
いいのでは、と思います。
ともあれ、やはり、耳でも味わいたい作品だと思います。