この本は、写真家長倉洋海の著作としては素晴らしいけれど、写真絵本としては失敗作品です。
何故なら、最初のページから、文章と写真は微妙に遊離してしまい、後は長倉さんの生きてきた道を追うように、文章だけが心に刺さってきたからです。
この絵本の主体は長倉さん自身です。
そして最後の一文で、長倉さんは自分の生き方を見つけたものとして、締めくくったのです。
写真家長倉洋海に生き方を教えられるような絵本ですが、その根底に写真は必然なので、改めて写真を眺めると、自分の生きてきた記録として、写真たちが輝き始めます。
人生を考える上で、力をくれる「写真絵本」です。