日本ではどちらかと言うと戦争と言うと国と国同士の戦いのような感じとしてだけとらえているような気がします。戦争によってすべてが失われ、多くの人々が負傷し、亡くなり、というような事だけが主に取り上げられているような気がします。
ですが、この絵本では突然普段の日常が一転し急に難民になってしまった子のお話になっているので、戦争がもたらすもう一つの現実、というか悲しみを胸が張り裂けそうになるほど感じてしまいました。こんなに辛い現実が突然襲って来て、更には何処にも、誰にも助けてもらえない。こんな現実が実は今でもどこかで誰かに起こっているという事も、本当に有ってはいけない事で、自分の子供達にも起きては欲しくない事だと思いました。子供達の笑顔を奪ってしまわないように、今の大人である私達が何とかして行かないといけない、そう思いました。
日本は安全で比較的暮らし易い国として考えられていますが、本当にそうでしょうか。難民を受け入れる体制が全くと言っていい程整っていない国として、何とかして行かないといけないのでは、そう思いました。
子供達にこの本を読むときっと何が起きてしまっているのか分からない感情になってしまうかもしれません。もしくは物凄く辛い悲しみを感じるかもしれません。でも、他の戦争の絵本では知る事の出来ない戦争が人々にもたらすもう一つの悲しみの現実を子供達に絵本と言う形で分かり易く、イメージしやすく伝える事が出来る素晴らしい1冊だと思います。
読む人全ての人々に、戦争について、そして難民について真剣に考えさせられる、そんな1冊だと思います。誰もが平等に平和に幸せに家族と過ごせるためには、これから一人一人が何をして行かないといけないのか、それを考えなければいけない、そう思いました。
本当に辛い1冊ですが、この絵本に出会ったからこそ知れる本当の現実、そして戦争の恐ろしさを子供達にも伝えて行きたい、そう思います。