クリスマス絵本をいろいろ読んでいる時にこの本に出会いました。
かわいいオーバーを着ておすましした写真のような表紙が印象的です。
この赤いオーバーが出来るまでのいきさつがこの絵本には描かれています。
オーバーをつくるまでに、まず羊さんから羊毛を刈り取るところから始まり、糸をつむぎ、布を織り・・・。このあたりはエルサ・ベスコフさんの「ペレのあたらしいふく」を想起させますね。
でもこの本では、その根底に流れるのは「戦争のつめあと」。
戦前までは裕福な暮らしをしていたであろう主人公アンナの一家も、戦争のおかげで暮らしが一転している様子が伺えます。
物資が不足している戦後。お店のウインドウは空っぽ。
そんななか、アンナのために新しいオーバーを仕立てたいと思ったお母さんは、家に残された調度品やアクセサリーと交換に、一つ一つオーバーのための材料を揃えていくのです。
約1年がかりでようやく完成したオーバー。
この間に、アンナもすっかり成長していることが、挿絵からも見て取れます。
ラストのクリスマスパーティのシーンも印象的です。
いろいろなことを考えさせ、教えてくれる1冊です。