1994年の発刊のきもとももこさんのデビュー作。
愛子さんのお気に入りでまた有名になったということで読んでみました。
一言で言って、この完成度の高さは尋常ではありません。
まず絵。
うずらちゃんとひよこちゃんのデフォルメが効いているのですが、それでもごく自然な描写で、その姿形が秀逸です。
鮮やかな色合いと相まって、読む者の心を捉えることでしょう。
ストーリーは前半がかくれんぼなのですが、花、実、きのことうずらちゃんとひよこちゃんの一体感が実に見事。
大人が見ても楽しめるくらいです。
脇役の蜂とか蛙も、いい味を醸し出しています。
しかも、この絵本の凄いところは、単なるかくれんぼに留まっていないこと。
起承転結の転の部分で雨が降ってきて、二人が家に帰れないという不安な場面とその次にさらに大きな影が登場するという、読み手に心配をさせる展開があるのです。
ですから、最後のハッピーエンドがより感動を与えることに繋がっています。
セカンドブックとして、もっと多くの人に読んでもらいたい一冊です。
プレゼントとしても、最高に喜ばれる絵本だと思います。
きもとさんの他の作品も読みたくなったのですが、あと2008年に一冊あるだけのようです。
確かに、これだけの作品がデビュー作だと、次回作のプレッシャーというのも大変なものではないかと心配になってしまうくらいの秀作だと言えると思います。