体は大きいけれど、臆病で泣き虫のまさや、体は小さいけれど、活発でしっかり者のあきよの友情、そしてまさやの冒険と成長の物語です。
30年近く前、私の本棚に入っていて何度も何度も読み返した本です。当時は、まさや目線で読んでいましたので、それはもう「ハラハラドキドキワクワク」の連続で、冒険を終えた後の達成感的なものを感じていました。本の最初に描かれた地図を何度も開いて、まさやの辿った道を確認し、情景を思い浮かべるのが楽しかった!そして、実物のホタルブクロってどんな花なんだろうと、想像をめぐらせたり、植物図鑑を開いてみたりしたものです。
今、大人になり、娘に読み聞かせながら大人目線でこの物語を読み進めていくと、なんて子供の気持ちに寄り添った、優しいまなざしの向けられた本なのだろうと、新たな感動をもらっています。子供って、こうやって、一人一人が大なり小なり様々な冒険を体験して、少しずつ強くなり、人との関わりを学び、成長し、自立していくものなんだな、とじみじみと考えさせられました。
読み聞かせたはじめは、レトロな雰囲気と少し難しい文章に娘はあまり乗り気ではなかったのですが、物語が進むにつれ、グイグイと引き込まれたようで、「はい、今日はここまで」と言って本を閉じるとブーイングが出るほどになりました。
多少、時代が古いと感じる箇所が出てきますが、それはそれで味のあるもの。中山正美さんの、デッサン力抜群なのにさりげない挿絵も素敵です。
この本はまさに不朽の名作の一つ。これからも多くの子供たちに読み継いでいってほしいなと思います。