小さなかたつむりが、お父さんに「せかいいちおおきなうちがほしい」と言います。
とってもかわいい、子どもらしい無邪気な願い。
でも、かたつむりにとって大きいうちをもつことは・・・
その危険さを、静かにお話してきかせるお父さんかたつむり。
お話の中で、かたつむりはうちをどんどん大きくし、飾り立てて
みんなに注目はされたけれど、大きすぎるうちのせいで動けなくなって消えてしまいます。
読んでもらいながら、娘は飾られてゆくかたつむりの姿に素直に喜び、
それが空っぽになって朽ちてしまうページではとてもショックな表情。
でも、その後で、「おうちはちいさくしとこう」と思い直したちびかたつむりが
すばらしくきれいな景色の中を散歩する場面では、
また「わあ、きれい」と笑顔。
「ちびかたつむりのめは なみだでいっぱい。」
「ちびかたつむりは とてもしあわせ。」
語り口は静かですが、そのお話といきいきとした絵の中に、ちびかたつむりの心境が鮮やかに描かれています。
そして、娘の反応も、ちびかたつむりの心をそのまま映したかのようでした。
それだけ、説得力がある絵本です。
娘とわたしは特に、ちびかたつむりの散歩する、字のないページが大好きです。