戦争で焼け出された「わたし」は田舎の町へやってきました。新しく入った学校にはいたずらっこの「シンペイちゃん」がいました。いたずらをしてもなんだか憎めない、それどころか実は「わたし」を心配してくれていた「シンペイゃん」。ひなまつりを前に短くなったエンピツでおひなさまを作ってくれました。「明日は三人官女をつくってやるよ」その言葉を最後に空襲で「シンペイちゃん」は・・。
こどものささいな楽しみを一瞬で奪ってしまった戦争が静かに描かれています。
戦争で物資も少ない中、子どもたちは、知恵を絞って、楽しさを自分から作り上げていたことを改めて感じました。
前半は明るい色調で描かれていて、物語を楽しんでいた息子は突然の展開に呆然としていました。切ない終わり方でしたが、そろそろ戦争についても少しずつ知ってほしいと思い選んだ本です。「今は戦争じゃなくてよかったね・・」と一言だけ言っていました。
裏表紙に「4・5・6歳から」と書いてありますが、ひなまつりを楽しみしているお子さんたちには、この時期、読むことはオススメしません。本来、ひなまつりは楽しいものですからね。