からだの弱い人までも招集される、太平洋戦争終末期の悲惨さ。
誰もが悲壮感を感じながら、思想統制で作られた使命感で自分を納得させようとしていた時代。
こんなに悲しいお話が、絵本で見事に表現されています。
読みながら、胸の中にこみ上げてくるものがありました。
戦争の中で、家族が死んでいく。最後にちいちゃんも死んでいく。
救いようのない話なのに、とてもソフトに描かれているのが、この本のやさしさであり、奥深さでもあると思います。
息子は「悲しい話だね」と一言。
あまんきみこの抑えた語りが素晴らしく、上野紀子の絵が幻想的で素晴らしく、両者の調和がさらに素晴らしいです。
自分の心も空の上に放り上げられたような気がしました。
余計な解説はせずとも、息子の心に響いてくれたと思います。