「完成したら教えてね!」と大人たちに言われたソフィアが、プレッシャーで押しつぶされそうになるシーンを、私は忘れることができません。
もしも私がソフィアの近くにいる大人だったら、どうしていただろう?絵本の中の大人たちと同じように、ソフィアに「すごいね!頑張って!」「できるの楽しみにしてるよ!」と声をかけ、ソフィアの活動におぶさって、何かした気になってしまわないだろうか?と、自分の中の無意識の善意と怠慢について考えてしまいました。
近ごろはSNSで意見を表明したり、署名もWebで集められるようになり、「○○した方がいいと思います」と人の意見に乗っかって、簡単に賛同できるようになりましたよね。
もちろん、「〜した方がいい」と最初に声を上げるのも勇気が要りますが、その先には知恵や努力が必要なのだと大人は知っているはずなのです。どのように考えをまとめて、どこにその声を届け、周囲を巻き込み、実現させるのか。そういう道筋をヒントとして子供たちに与え、たくさんの「ちいさなこえ」を上げる勇気を与えるのが大人の仕事なんだなぁと改めて思いました。
小さな子どもが「このまちを もっともっとよくしたい」と思い、自分にできることをしているって、それだけで素晴らしいこと。
もし、身近にソフィアのような子がいたら、声を上げる勇気を持てるよう、その熱い思いを持ち続けられるよう、自分にできることをしたい。子どもに「勇気を持ちなさい」と変わることを要求するのではなく、大人が変わる背中を見せて生きたいと強く思わされた一冊でした。