アルフレッド・ヒッチコック監督作品で1954年に作られた「裏窓」という面白いサスペンス映画がありました。
事故で足を骨折して動けないカメラマンが退屈しのぎに裏窓から見えるアポートの人たちの生活をのぞき見していて、殺人事件らしきものを偶然見てしまうという話です。
その映画に出てくるアパートの住人たちの生活ぶりが面白い。
妻を殺す男もいれば、楽しく仲間たちと歌を歌っている男もいる。
グラマラスな女性には男が近づき、暑くて眠れないと布団を外に出して寝ようとする夫婦もいたりする。
表のドアを閉めてしまえば決してわからない住民たちの生活が垣間見れる面白さ。
この絵本にも同じものがあります。
女の子の住んでいるアパートは7階建て。
各階に一軒ずつ住んでいるのですが、何故かドアがちょっとずつ違うのです。
1階のドアにはかぎがいっぱい。
なので、女の子はそこに住んでいるのは、きっとどろぼうの家族と想像します。
ドアを開くと(もちろん女の子の想像です)黒い覆面をしたどろぼうの一家がくつろいでいます。
女の子の想像は順番に上の階へと続いていきます。
明かりの消えた真っ暗なドアの向こうには、きっと吸血鬼が住んでいるのだとか、酢漬けの魚のにおいがするドアの中には人魚と暮らす海賊が、しかも水中にいるのだとか、女の子の空想は広がります。
それで、7階の自分の家はとっても普通。
そんな空想が広がる楽しい絵本ですが、このアパートを裏窓からのぞけたらきっと面白いでしょうね。