瀬田 貞二さの文、林 明子さんの絵による1979年の作品。
瀬田 貞二さんは訳者として知られていて、数少ない作品の一つ。
林 明子さんは、「おふろだいすき」「はじめてのおつかい」など多数の名作の絵を描かれています。
一言で言って、これだけ完成度の高い絵本は殆どないと思います。
ストーリー、絵、構成どれをとっても非の打ちどころがなく、読み手に必ずや感動を与えてくれることでしょう。
物語は、まみこは玄関で歌を歌って学校へでかけるシーンから始まります。
「おかあさん、
きょうはなんのひだかしってるの?
しーらないの、
しらないの、
しらなきゃ かいだん 三だんめ」
おかあさんは階段の三段目に手紙を見つけます。
それから、まみこがおかあさんに仕掛けた手紙探し遊びが続きます。
おかあさんは次々に手紙を見つけ、会社にいるお父さんのポケットにも手紙が入っていました。
このシーンは、表紙の次のページに描かれていましたね。
お父さんとお母さんの結婚記念日。
この手紙遊びには素晴らしい仕掛けがあって、最後の頁には感動させられるでしょう。
こんな風に結婚記念日を子供に祝福されたら、たまりません。
この絶妙な話の展開は、大人から子供の全ての世代の心を捉えるはず。
小学校1年の息子に読んだら、「いい話だね」の一言で終わってしまったのですが、息子に子供ができたら是非読み聞かせをして欲しい一冊です。
林さんの絵は、いつも優しくて大好きなのですが、この作品は絶品です。
昭和50年代のごく普通の家の風景なのですが、まさに忠実に描かれています。
その奇麗な色遣いと相まって、生き生きとした人の表情から伝わる家庭の暖かさが、読む人の心に響くことでしょう。
オススメです。