横長の珍しいスタイルの絵本だなと思って、手に取りました。
見返し(効き紙)は、本文の内容を含む絵を描いた切手がペタペタ、見返し(遊び)には、
“じぶんで ほんが よめるようになるまで ほえなければならなかった ライオンに ささげる”
の一文があり、作者のこの絵本への愛が感じられ、読む前から温かい気持ちになりました。
百獣の王ライオンくん。
牙を剥き、「ガオー!」と吠えれば、それでなんでもOK。
ところが、恋した相手が悪かった。
読書するちょっとハイソな香り漂うレディのライオン。
レディには、手順をふまなくちゃ。そう、まずは手紙を出して。えっ?あっ!字がかけな〜〜〜い。
恋文代行を他の動物たちに命令し、……。
自分の思いを伝えきれない手紙に、ライオンくんが、癇癪をおこしていくのが滑稽です。癇癪ボルテージマックスのページに、場所を忘れて大爆笑。レジへ走りました。
絵がまた素晴らしい。恋するライオンくんは、牙を抜かれ、勇猛果敢をすべて捨て去ったような、“愛すべきおとぼけキャラ”に描かれています。
代筆した恋文が読みあげられるたび、その動物たちの習性を模したライオンくんの姿が、笑えて笑えて。
なんといっても、癇癪をおこし発するライオンくんの台詞の“字体”が、この絵本を一層楽しくしていると思います。『この本のタイトルのもう一つの意味付けなのかな?』と、ちょっと深読み。
ラストシーンも、本当に素敵です。
表紙絵をあらためて見ると、ライオンの手形(指紋?肉球紋?)がうっすらと、おしゃれですねぇ〜〜。
10歳の息子に、読みましたら涙を流さんばかりに笑っていました。
レディの台詞も“大人の魅力”を意識して言ってみましたら「はは、レディというより魔女みたい。」って、がっかり。
高学年まで楽しめる、ぜひお薦めしたいドイツの作家さんの作品です。