前作で、四国を旅したマル。無事に家に辿りついた後、飼い主の女の子が病気になった。愛媛のどこかに万病を治す泉があるという噂を聞き、愛する人のために再び旅に出る。
愛媛新聞2019年〜2020年にかけて連載。書籍化にあたって加筆訂正。2021年刊行。愛媛県の名所を各地周りながら、昔話の世界の住人や、不思議なこの世の存在と交流しながら旅を進める。
飼いネコとしての様々な悩みや葛藤、ネコ同士の関係の微妙さ、いろんな立場の登場人物の生きる世界を垣間見る。
血統書付きと、そうでない猫の意識の違い。明確な階級世界ではないが、心の中で身分差別をつくっている。
鬼退治の話によって激しく誤解されている鬼や、その関係者たちの苦悩。人は、よく知らない他人に対しては、少しの風評ですべてを判断して、決めつけてしまう。
そんなふうな、誰もが多かれ少なかれ身に覚えのある誤解を、マルは体を張った冒険で解いてくれる。
読者は、マルとともに自分の中の不要な思込みに気づき、これを解決し、少しずつ成長していける。
愛媛県の観光案内を兼ねた、絵本版ロードムービー。
横長の迫力ある画面を、ゆっくり楽しめる。