短縮版の『走れメロス』を読んだ後、やはり気になってしまった戸田幸四郎版を読んでみました。
こちらは、太宰治の原作が主で戸田さんがそれに絵を添えています。だから、話は原作のことになるのですが、これは子どもにとって良い絵本かもしれません。
文体は古いままですが、用語の説明が付されているので言葉の意味をおさえながら読み進むことができます。多少違和感のある文章も、名作を読んでいく上での味わいだと感じます。
戸田さんの絵は、文章を壊すことなくメロスや物語の背景を絵にして、あくまでわき役に徹しています。
声に出して読む本ではないかもしれませんが、メロスのイメージが独り歩きすることなく表現されていて好ましく思いました。