この夏県内の読書感想文の課題図書になった絵本です。
どうして課題図書に選ばれたのかなど考えつつ手に取りました。
実話を絵本にした話なので、ストーリーも落ち着いて現実的。
バスの中で、差別意識への抗議と、『いろいろな制限は受け入れた上で、ここは自分達が座っても良い場所だ』と正当性を主張(席を空けるように説得する運転手、やってきた警官に答えたただ一言の「ノー」)をしたために、逮捕された黒人女性のローザの話。
その行動が、バスへの乗車ボイコット運動になり、キング牧師の指導も加わり、無罪と平等を勝ち取る。
しかし、この話はその前にあったブラウン判決があってもなくならない差別、黒人少年エメットのリンチ死事件とその犯人が無罪となったなど時代の中に火種をくすぶらせていた社会によって起こりえた話ではあります。
それにしても「ノー」と言う勇気と、それから始まる運動への参加。これは素晴らしいことです。
そこで話を戻すと、何故課題図書になったのでしょう。
差別を考えると言うことでしょうか。
実は、自分自身のことを考えると、自分はローザを責め立てる白人にも、差別をうけいれて権利を放棄していた黒人にもなれるのです。
逆にローザや、差別反対の運動の中に入るだけの勇気には自信が持てない。
子ども達は同だろうか?
せめて傍観的な読み取りはして欲しくないな。
もう一つ、我が子が主張したり、「ノー」と言ったとき、問答無用の警官タイプであったり、運転手タイプになることは簡単。
それを教育と言ってしまうことも簡単だけど、子どもを取り巻く環境、子どもの権利も考慮出来なければいけないと思います。
大人にとっても課題図書だと感じました。