まずこの本を手にしたときの存在感に圧倒されます。なんと、厚さ約2.5cm、たて約25cm、よこ約20cm、重さ約0.9kg、そして厚くて白い高そうな紙を使っているからでしょう、207ページもある、とてつもない本なのです。でも厚くて大きいからと言って、難しい事典などではありません。
この本は、「世界一強い女の子」=ピッピ・ナガクツシタのことを書いたお話です。これまでにもピッピの本はありましたが、この本はスウェーデン語から全訳した特別版です。
大きさのインパクトもさながらに、表紙に描かれているピッピの姿も今までのピッピ像をくつがえす現代っ子風。しかし、ピッピの性格はこれまで同様、明るくて元気、そしてみんなが想像もしないことを起こす型破りな女の子です。
この一筋縄ではいかないピッピを、コラージュなどを使って楽しい絵の世界を創り出すローレン・チャイルドが描いています。各章の冒頭にはこれからはじまるお話を予感させる絵がコラージュで描かれています。また文中でも、ピッピが後ろ向き歩いてるところでは、文字がさかさまになっていたり、パンケーキを作るために、たまごを割らずに直接フライパンに落とす場面では、本物のたまごの写真が使われていたりします。それから、ヘビやムチなどの長いものが登場する場面では、文字がくねくね波打って配置されています。その他にもローレン・チャイルドならではの工夫が随所に施されています。ぜひ、絵も細部まで楽しんでください。
新訳も切れ味の良く、躍動感あふれる文章で、ピッピを描いています。
表紙だけ見ると絵本と間違えそうですが、小学校中〜が読者として適当と思います。