優しいタッチの表紙が、全てを物語っているような、優しさ溢れる温かな絵本。
バスを待っている白杖を持ったおじさんに、少女がそっと手を添えて声をかけました。
「バスが来ましたよ」
仕事場に行くためにバスを待っていた全盲の山崎さん。目的地に着くまで、いつもドキドキしながらバスを利用していた山崎さんに、スッと手を差し伸べたのは、小学3年生のさきちゃんでした。
さきちゃんのおかげで、不安な時間が、楽しい時間に変わっていく山崎さん。2人の温かな交流が伝わって、こちらまで一緒に幸せなひとときを過ごさせてもらえます。
やがてさきちゃんは大きくなり、卒業を迎えますが、さきちゃんの後を引き継いだのが、さきちゃんの妹達でした。そしてその友だちに引き継がれ、山崎さんは定年まで、安心して通勤することができるのです。
なんて素敵なお話でしょう。そしてこれは、実話を元にしたお話とのこと。胸が熱くなりました。
山崎さんと、子どもたちとの温かな時間は、山崎さんにとっても、子どもたちにとっても、かけがえのないひとときだったことでしょう。山崎さんが退職された後も、優しさのバトンは、いろいろな形で引き継がれていったことと思います。優しさのリレー、本当に素敵ですね。
私も、優しい子どもたちに恥じない大人でありたい、と思いました。
いろいろな願いを、祈りをこめて、多くの方に届けたい一冊です。