きつねは、、ずる賢いきつねでした。
だって、痩せたひよこをその場で”がぶり”とはせずに、
太らせてから食べよう、と考えたんですから。
ところが、そんな下心で親切にしてやったひよこから、
「きつねおにいちゃん」とか「やさしい」と言われたきつねは、
ぼうっとしてしまいます。
心を動かされる言葉。
きつねにとってそれは、「おにいちゃん」とか「やさしい」、
「かみさまみたい」「しんせつ」という言葉でした。
それは、きつねにとって、自分の中の意外な一面だったのかな。
相手のために何かをすること。それがこんなに気分が良いなんて!
ひよこから、あひるから、うさぎから、いろんな褒め言葉を聞くたびに、
きつねの心や行動がどんどん変化していくのを、読みながら
感じることができました。
お話の最初と最後では、きつねの印象は全く変わってしまいました。
はずかしそうに、笑って死んでいったきつね。
以前のままだったら、きつねのことを悲しむものはいなかったことでしょう。
嬉しい言葉は、人を変える力になるんですね。
このお話が、小学校の教科書に採用されているのも頷けます。
心に残る、素敵な一冊になりました。