「おじいちゃんの口笛」「おねえちゃんは天使」などなど、スタルクにはおすすめの作品がたくさんあります。自伝的な作品のうちのひとつ「パパが・・・」は、秋から冬にかけて読むのにぴったりの一冊。そして、わたしのお気に入りの絵本の中でも、常に上位にデンと位置しています。どうしてそんなに惹かれたのかというと、これ、娘とわたしそのものを描いているみたいだったからなのです。自分が娘からどう見られているかに気づかされて、恥ずかしくもおかしく、・・・もちろん娘にも大ウケ。(もっとも、ムスメがウケたのは、わたしとは違ったお下品な部分のようでしたけれどね)
これは作者スタルクの少年時代の思い出を描いたお話です。
ウルフのパパは、息子に、美しくすばらしい星空、広がる宇宙を見せてあげようと一生懸命に考えて、晩秋の寒々とした夜の野原に連れ出します。でも、ウルフときたら、そのへんの草花や水溜りやカタツムリ・・・そんなものばりに目が行ってしまい、感心している始末。で、パパだけが「おお〜、ほうらすばらしい星空だろう、あれが〇〇座、向こうに見えるのが△△座・・・」と、感激にひたって興奮し、熱心に指し示すのでした。
ウルフはというと、あんまり星空を見てどうのと思うわけではないんだけれど、パパをないがしろにしては悪いだろうと思って、うん、うん、って調子を合わせるんです。
自分の熱心さとは反対にムスコがそういう状態だというのに気づかぬパパ、そのうち、トドメ・・・何かフンづけた! あはは〜、フンイキだいなし〜。
親はいつも子どものためにああしてやろうこうしてやろうと一生懸命なんだけれど、すべて思惑通りにはいかないものなんですよね。
もっとも、子どもとしては、このムスコのように、まったく違った発見をしたりして、親と一緒に過ごしたなんだかほんわかとしたしあわせな時間の記憶とともに、それなりにいい思い出として心に深く残るようなのですけども・・・ふふふ。
はたこうしろうやアンナ・ヘグルンドが絵をつけることの多いスタルクですが、今回のエヴァ・エリクソンの色鉛筆による絵もとてもよいです。夕暮れから夜にかけて移りゆく空の色、街の色、そして小さないのちの描写が特に!