お兄さんとお揃い風の帽子をもっている女の子がいました。女の子はその帽子をとても気に入っていました。けれどもある日、帽子が飛んでいってしまい…。
愛着のある帽子をなくした女の子の、複雑な気持ちがよく描かれています。なくした帽子が忘れられず、新しい帽子を素直に受け入れられない女の子と、帽子をなくさなかったお兄さんが新しい帽子にすぐ飛びつく、心情の対照が見事だなーと思いました。
子どもたちを優しく見守るお母さんと、(絵には登場しないけれど)お父さんの存在感もすごく感じられるお話です。家族の温かさがこの本にいっそうの安定感を与えているように思いました。
ぱっと目を引く装丁ではないですが、すごく味のある絵本です。佐野さんのセンスのよさを再確認しました。うちの子どもたちも、「星5つ!」だそうです(笑)。