夫の母が「表紙の仏さまの表情にホッとするわ。素敵」と、この絵本をとても気に入った風だったので、実はかこさとしさんの作品なんですよと説明。大人向けなのか「加古里子」と漢字で著者名が書かれていたせいか、義母もはじめは気付かなかったようで。
しかし、ひとたびページをめくると、そこは緻密で正確で臨場感あふれる「ザ・かこさとしワールド」です。巨大な大仏と、その造営に挑む人々の小ささのコントラスト。都のマップや、お堂の細密な線画の美しさ。何度もページをめくる義母は、歴史のドラマに浸り、ため息まじりに過去の偉業に思いを馳せているようでした。
日本史に疎い私も、そこはかとなく漂うサイエンス視点からの加古さんの歴史解説に好奇心が存分に刺激されました。いかに長期の大事業であったか、その熱量がいかほどであったかが伝わって来る描かれ方で、少しずつですが隅々まで眺めてしまいました。面白かったです。
10年前に義父が亡くなった時、日本中お寺巡りの旅をして寂しさを紛らわせていた義母。今はあの頃とは見違えるほど元気ですが、先日「復刻版が出たらしいですよ」と一冊プレゼントしたところ、とても喜んで受け取ってくれました。