第二次世界大戦中の広島。小学4年生の也子(かのこ)は、こぎつねと話をするようになります。
れんげ、おしろいばな、ひめじょおんなど四季折々の花の様子が彩りを添えていて色彩的にきれいな印象の残ったお話でした。
あとがきにありますが「あたりまえの暮らしが奪われることこそが戦争の悲しみなのだ」というくだりがあります。
この中には空襲の心配も出てきますし、一番の大きな悲しみは広島を襲った原爆でした。
読んだのが震災後ですので、この原爆のこともさることながら、今なお収束しない原発の問題をどうしても重ねて読んでしまいました。
戦争がなくなっても、自然災害によっても「あたりまえの暮らしが奪われ」てしまう。そんな風に思うと、とても切なく感じます。
語り継いでいく人がいなくなれば、この原爆での悲しみも時代を経て風化して薄らいでしまうことでしょう。
戦後すでに66年で、語り継いでいくことの大切さ、戦争の愚かしさを伝えていくことを感じました。
子どもと一緒に読みたい作品です。