工事によって自然環境が破壊されていくお話を
乳飲み子を抱えたお母さんと、そのお母さんをかげながら慕うウサギとをからめ
いもとさんのやさしいタッチの絵で仕上げられています。
乳飲み子を抱え山へ入り、そばの花を栽培するお母さん。
お母さんが授乳する優しい様子を影からそっと見つめるウサギ。
落としていった赤ちゃんの帽子を取りに戻ってくると信じて、
ウサギは工事の始まった山にとどまっています。やがて・・・。
最後は悲しい結末で、読み聞かせながらこちらが泣いてしまい、
娘は自分でタオルを探してきて、私の涙をぬぐってくれました。
自然破壊、親子の絆、人を思いやる心・・・。
子供が一人で外で遊べないような殺伐とした今の世の中では
忘れ去られた何かを、
いっぱい提示しているような気がしてならない一冊です。