1957年のコールデコット賞受賞作品。
マーク・シーモントは、1950年の「はなをくんくん」2002年の「のら犬ウィリ−」でも、コールデコット賞オナー賞を受賞しています。
原題は、A tree is niceで、「木はいいなあ」という邦題は、言いえて妙な訳だと思います。
幼い頃、大きな木があれば良いなあって思っていたものです。
ブランコがあったり、枝に登って休めたりできるような大きな木が憧れでした。
この作品は、そんな憧れの風景を思う存分に描いています。
ジャニス・メイ・ユードリーが、幼い日々に経験した木との素晴らしい生活を描写したんもののようですが、木にはそんな不思議な魅力があると思いますし、そんな体験を子供にして欲しいものです。
ただ、そうした環境はなかなか望めなくなっているというのが実態でしょう。
だからこそ、この絵本がなおさら今の時代に活きてくると思います。
そして何より、一番良いのは、
「木をうえるといいよ」という最後のシーン。
この時代に、既に木を植えることを推奨しているのは驚愕の事実です。
そうした環境の家は、少ないというのが難しいところですが、子供の成長とともに大きくなる木を眺めた時の感慨というのは、なかなか得がたいものだと思います。
本当に地味な作品ですが、木というものを考えさせられる絵本です。
自然との結びつきを考える上でも、オススメしたい古典的名作です。