大切な人がいなくなることを受け入れることが、どれほど辛く難しいか。経験したことがある人には、その時を思い出してきゅっと胸が締め付けられる、静かなのに胸の内が熱くなるストーリー。
いつまでも大事に小鳥の亡きがらに花を供え持ち歩くくま。
過ごした時間が楽しく濃密であればあるほど、死を受け入れるには時間がかかる。だから、くまにはそんな小鳥との最後のお別れの時間が、少し長く必要だったのですね。
そのお別れの時間を終えるのに、やまねこは背中を押してくれます。
現実の世界でも、その背中のひと押しが一番大事なのです。
やまねこのさりげのない、ポン、とくまの軽い背中をたたく音が聞こえてきそうな最後の場面が、くまの未来が小鳥との思い出とともにずっと続いていくんだろうと予感させて、肩の緊張がほぐれます。
歳を重ねれば重ねるほど、好きになりそうな絵本です。