瀬川さんの絵は、温かみとなつかしさがあって、子どものころに読んだ本も思い出しますが、意外にも、娘に読むのは、赤ちゃん絵本の「もうねんね」以来でした。なんだか時間の流れを感じ、この本を読みながら、娘の赤ちゃん時代をなつかしく思い出してしまいました!
物語も、他の日本の昔話と同様におもしろく、文章にもスピード感があって、読み応えがありました。
それにしても、冷蔵庫もなく、交通手段も発達していなかった時代、山奥の村に住む人たちが、魚を口にするどころか、海を見たことさえなかった、というのは、驚くことでも何でもなかったんですね。今や、季節を問わず、海の幸、山の幸が、どこの店先にもずらりと並び、外国産のものさえ、簡単に手に入ります。そのような時代に生まれ育った子どもたちは、このお話を読んでどのような感想を持つでしょうか。娘は、たろの誕生祝の宴の席で、たろのお父さんと思われる人が、なんだか苦しそうな表情をしているのを見て、「きっとお魚食べたことないから、骨がのどに引っかかっちゃったんじゃない?それで、たろは、お魚食べないで、ぼくは、どうしようかな?って、お父さんを見てるんじゃない?」と、言っていました。子どもの観察眼は、鋭いですね!