その子は、小学校に入学した日、床下に隠れて出てきませんでした。
先生を怖がって、何ひとつ覚えることもなく、友だちもなく、いつもひとりぽつんとしていて、のけものにされていました。体が小さいので、みんなは『ちび』と呼んでいました。
そして、6年生になった時、磯辺先生が、担任になりました。磯辺先生は、その男の子のいい所を見つけてくれたのです。
今までも、目にすることはあった一冊の絵本。表紙を見て、どこかの地方の民話か何かと思っていました。実際に読んでみると、なかなか深刻な内容でした。
外見で判断して、のけものにするのは、いじめそのもの。本当は、すばらしい能力を持っているのに、それに気づいてあげられなかった長い日々のことを思うと、涙なしでは読みすすめられませんでした。
『からすたろう』の気持ちに寄り添って、どうするべきかを、じっくり考えることができればと思います。