真に子どもを知る人は、時代や場所にかかわらず存在したのだと確信させてもらった絵本です。さまざまな子どもを受け入れる教育体制は、移民政策や社会経済的な理由から米国のほうが日本よりたけているのでは……というイメージを抱いていたのです。また、子どもの人権が確立されていなかったその昔は虐げられていた子どもたちが多かったのでは……というような見方をしがちでした。
ちょうど日本の卒業シーズンに当たることから、英語と日本語両方で息子に読み、(最近の傾向で?)最後はまた涙でした。大人は(特に親であれば)、これは涙なしでは読めない作品ですね。ちびやちびの家族のことを考えると、6年間の長い月日は涙にしかなりません。娘はわたしの涙をしげしげと眺めていました。昔の子どもたちは、学校を卒業すると多くは働きに出たのですね。人生の意味を、ここでも教えてもらいました。
八島太郎さんの存在は、「ミス・サイゴン」公演で孫にあたる方(舞台女優の卵さん)が当地を訪れたときに初めて知りました。(十年ぐらい前のことですが。)戦前の政治体制に異を唱え渡米し正しいことを絵本に反映させた生き方は、真実を見る人の生き方に他ならないと思いました。