表紙のちょっと悲しそうなお月様に、まず興味を惹かれます。和紙のような質感がおしゃれな感じ。裏表紙には口を一文字にした三日月が描かれていて、お話の中で何が起こったのだろうと、想像力をかきたてられます。
お話はお月様を一度かじってみたいと思ったカメが決心して、高い山に登り、それでも届かないから別の動物を呼んで‥というところから始まります。よくあるタイプの話かな、と思いきや「ゲームだな」と勘違いしたお月様が、ひょいっと上に逃げるところが何とも遊び心に溢れています。
そして小さいネズミを見て、つい油断してしまったお月様がとうとうパリッとかじられてしまいます。このあたり、少し教訓も含まれていますが、押し付けがましくなくていいのです。
お月様の味が「みんなの一番好きなものの味」というのも意外性があります。聞いている子供たちは、それぞれ自分の大好きなものを想像しながら、幸せな気分に包まれていることでしょう。
小学校でのお話し会でも、「おもしろかった!」と好評でしたよ。