「お月様ってどんな味なんだろう。甘いのかな。しょっぱいのかな。ほんの一口、食べてみたいね…」動物たちが、夜、お月様を見ながら山の上にのぼり、お月様をかじろうとします。かめの上にぞう、そうの上にきりん、きりんの上にしまうま…、次から次へと動物たちがやってきて、背中にのぼり、とどきそうになると、お月様はひょいっと上に上ってしまいます…。
和紙の風合いを生かしたイラストが深い味わいをかもし出し、動物たちの表情もやさしげです。この紙質のボコボコ感が触覚にうったえ、「どんなあじ?」の問いかけが味覚にうったえ、お月様が「ひょいっ」と上に上ってしまうテンポが聴覚にうったえ、もちろん可愛らしい動物たちの表情が視覚にうったえ…、五感を刺激する秀作絵本。さいごの「ほっこり」したやすらぎ感もすごくいい。特におやすみ前の一冊として、おすすめします。
蛇足ですが、その味…、わたしはうす〜くて甘いしょうがせんべいみたいな味かな…と。