この作品もオールズバーグの世界へ引きずり込まれてしまいました。
海岸づたいに旅をし、小さな漁村に立ち止まった主人公。
昼食の後、散策の途中目にしたのが、高い崖の上に横たわっている小さなヨットの残骸。
近づいてみると、そのヨットの朽ちた木材の間に腰をおろしパイプを燻らせた老人が、このヨットにまつわる話をし始めた。
ヨットの操縦の上手い少年が、天候の悪く大人たちも制止するのも聞かず、ヨットを外海へと出た。
ヨットが転覆せぬよう嵐と闘った少年だったが・・・。
ここから、現実の世界では理解できないような空間へ少年は入って行きます。
空を飛ぶ船のシーンは、読んでいて口が開いたままでした。
何ともミステリアスな世界を描ききるオールズバーグの色彩は、実際の世界では伺いしれない光景ばかり。
しかし、こうであるに違いないと思わせられてしまう画力の持つ説得力。
絵本を閉じても、言いしれぬ余韻を心に残します。
息子は、こちらの世界へ戻ってきた少年が脚を折ったことと、この話を語り終わった老人が杖を使っていたことを繋げ、自分なりにストーリーを繋げたようです。