この絵本の主人公は、どちらなのでしょう。ロージーなのでしょうか、きつねなのでしょうか。それは、この絵本を読む読み手にもよるでしょうし、この絵本を見る子供たちの視点にもよるでしょう。
この絵本にきつねの動作を表す言葉は、ひとつもありません。常にロージーの動作ばかりが、おって描かれています。
しかし、娘は、あきらかにロージーではなく、きつねを見ているようです。きつねが鋤を踏んでぶつかったところでは、自分の頭を「こつっ」とたたき、「イテッ」と言いながら笑っています。私がロージーのお散歩の様子を読み上げていても娘は、きつねの繰り返す失敗のほうが面白いようです。不思議ですね。娘は絵を読んで笑っているんですね。
絵本とは、文字ありきの本だと思っていました。その考えを根本から覆した絵本です。
絵を読む思考力を養う上で、貴重な絵本と言えるでしょう。