これはもう、そのまんま「おにいちゃん」「おねえちゃん」になって間もない子どものことばでしょう。うちの長男(3歳3か月、弟は7か月)の声になって聞こえてきました。
「うちには あかちゃんが いるんだよ」「ぼくは あかちゃんが すきなときも あるし」「きらいなときも ある」
うれしくてしょうがない気持ちと、おかあさんをとられてさみしい気持ち。
お風呂に入れる手伝いをしたり、小さなベッドで寝ているのをのぞきこんだり、興味津々。わたし自身も3歳7か月違いの弟が生まれたときのことをおぼろげながらに覚えているけれど、まさにそんな感じ。
あかちゃんはぼくが積んだ積み木を壊してしまう。まだいっしょに遊べない。
「はやく おおきく ならないかなあ」この一言に尽きるのね。弟か、妹かの成長が待ち遠しくてたまらない。
ジョン・バーニンガムは、子どもの気持ちだけではなく、おかあさんやあかちゃんの佇まいを描くのがほんとうに上手。
うばぐるまで散歩に出かける場面のおかあさんが毛布に手をやるしぐさ、上の子がうばぐるまの持ち手につかまる手つきと視線、あかちゃんが座っている様子なんて、どこにでもあるありふれた姿だけれど、その一瞬をぎゅっと凝縮したように描いてしまう。素晴らしくて惚れ惚れしてしまいます。
子どもはこころから共感するでしょうね。ぜひ一緒に読みたい一冊です。