おじいちゃんと子どもを描いた作品には「おっ」と思える良い本が多いですが、これもそんな感動的で印象的な一冊でした。
ボルチモアにすむ孫娘がジョージア州のおじいさんの家で一夏を過ごし、畑仕事をしたり歌をうたったりするうちに二人はすっかり気持ちが通じ合います。夏が終わり帰りたくないと思ってもそういう訳にはいかず、次の夏にまた来ます。
が、次の夏のおじいさんの家は様子がすっかり違っていました。ボルチモアの家におじいさんを連れて行くのですが、悲しい顔で椅子に座ってばかり。でも娘の吹くハーモニカであの夏が蘇ります。
こういうタイトルを見たとき、勝手に「こんな物語だろうな」と想像してしまいます。でも私の考えたような安直な話ではなく、文章を読むとぶわーっとそのシーンが映画のように広がる奥行きのある話でした。1シーン1シーンの絵がポストカードのようなイラストだったのも良かったのかも知れません。
娘と読んだとき、最後には娘も安堵したように「おてんば鳥め」と2度つぶやきました。