つちだよしはるというと、ほのぼのとした絵が多く、内容もふんわりした感じのものが多いと思っていましたが、これは耳が聞こえない女の子のお話で、少し驚きました。
うさぎの女の子・アイは、耳が聞こえにくい子が通う幼稚園に行きます。
いつまでも言葉がでないことを心配するお母さんが、先生から「口の ひろい コップは、みずを いれると すぐに いっぱいに なるでしょう。でも聞こえにくい アイちゃんは、コップの口が せまいので、いっぱいに なるまでに じかんが かかるんですよ。あせらないで、ことばの シャワーをいっぱい あびせてくださいね」と言われます。
この言葉が、非常に印象に残りました。息子も1歳半すぎてもなかなか話し出さなかったので、そのことも思い出しました。そうは言われても、なかなか話し出さない子に、ずっと語りかけていくのは、忍耐のいることだったことでしょう。
アイちゃんが最初に話し出したところがとても感動的で涙ぐんでしまいました。こういうお話は、子どもより、大人の方が、うるうるとするかもしれませんね。
あとがきに、アイちゃんのモデルとなった女の子のお母さんの言葉がありました。つちださん自身が聾学校に通われて子どもたちと交流していることも知りました。読みながら実話ではないかと思ったのですが、実話ならではの重みを感じました。