こどもの一途な気持ちがひしひしと伝わってきました。「こわい」「おもしろい」「やってみたい」「かちたい」「負けるのはいやだ」というような,真っ直ぐな気持ち。
そのような気持ちが,他の友達との関係の中で育ち,変化していくのが保育園(幼稚園)児としての醍醐味かな,と思いました。子どもはまず自分ありき,ですから,それぞれの個性は大人の集団よりも色濃く出ると思います。でも,赤ちゃん時代と違って,他の子にも興味が湧き,その子たちとの関係性の中で自分のポジションを知るという経験も重ねていきます。ちょうど,集団生活を始めたばかりの長男と重ねて読むことができ,我が子もこうやって成長していくのかな,と思う節も多々ありました。
このストーリー自体は「さくらの成長物語」が中心にあると言えると思うのですが,それを可能にしている周囲のおとな達の暖かさも同時に感じます。とくに,ダンプえんちょう!かいぞくごっこでは,容赦なくこどもたちを切りつけていきますが,その真剣さがこども達に響くのでしょうね。それと,帰り道にたかしのお母さんに会うのですが,おかあさんが嬉しそうに話を聞いたり,おかあさんからさかなの匂いがしたりするのが,とってもいいなぁと思いました。
こども達とおとな達の,絶妙なバランスが印象深く,私自身にとっても大切な一冊になりそうです。