原作アニメが、米国アカデミー賞を受賞した作品。
絵を描いたのは、鹿児島市出身の加藤久仁生氏。私と同じ街の風景を見て育った方が、こんな優しい作品を描かれたということに、とてもうれしくなりました。
海の水がどんどん増えてきて、家が水の中に沈んでいくと、家の上にまた家をつくっていくということをくり返しながら、ずっとこの家に住んでいるおじいさんの話です。
ある日、水の中にもぐって、下の下の下の家まで行くことになったのですが…
生きていくことは、歴史を築いていくこと。ひとりの人間だって、立派な歴史を作っているのだということを強く感じることができました。
独特な雰囲気のある絵ですが、ゆったりと流れていく時間の中で、心が、水に洗われたようで、優しい気持ちになることができました。
作者のこだわりである、色鉛筆での描写、そして、色遣いが、優しい雰囲気を充分に味わわせてくれます。