作者のヘレン・クーパーは、1作目の「いやだ あさまで あそぶんだい」で1997年に「かぼちゃスープ」で1999年にケイト・グリーナウェイ賞を受章という快挙を成し遂げています。
我家の絵本の選択基準は、絵が奇麗なことなのですが、この作品は文句なし。
最高水準と言っても過言ではありません。
姿形、構図、色あい、デフォルメの具合とも絶妙で、細かいところまで精緻に描かれているので、何度見ても新しい発見があって、決して飽きることはありません。
それが、現実とファンタジーの対比で描かれ、しかも、そのファンタジーのレベルは想像を大きく越えるもの。
ストーリーだけでなく、魅力溢れるキャラクターは、絵本の素晴らしさを思う存分感じさせてくれることでしょう。
話は、主人公のモリーが大事にしているうさぎの人形ボロリンが見当たらなくなるシーンから始まります。
これって良くある話で、誰しもが経験のあること。
パパとママとモリーは、ボロリンが何処にいるのか、想像を巡らします。
バスに乗っている、汽車の運転をしている、3びきのくまとおかゆを食べている、シンデレラと馬車に乗っている、海賊船に捕まった、竜に助けられた、月に行った、宇宙船に乗っている等等、たまらない展開が盛り沢山散りばめられています。
何より素晴らしいのがエンディング。
一枚の絵に、今までのボロリンの冒険が一目でわかるように描かれています。
そして、ボロリンが一言、「やっとあえたね」と言うのです。
ヘレン・クーパーの作品にしては、あまり読まれていないのが不思議なくらい秀逸な作品です。
ファンタジーが好きなお子さんに、特にオススメしたい作品です。