文をルース・クラウスによる1945年の作品。
渡辺茂男さんが訳し1980年に「ぼくのにんじん」として出版された作品を小塩節さんの訳で、こぐま社から2008年に再度出版されたものです。
原題は、「The Carrot Seed」
こちらの方は、原題と同じに訳していることから分かる通り、忠実に訳しているようです。
読み比べるとこんなにも違うのかと、正直驚きました。
一番の差異は、「ぼくのにんじん」では、視点がぼくにあったのに対して、「にんじんのたね」では 主人公をにんじんのたねに置いていることです。
巻末に、この作品を出版するにあたっての思いが綴られているのですが、その背景を知ると絵本の深さに感動せずにいられません。
「ぼくのたね」の方が、子供には馴染みやすいという感がありますが、何れにせよ、最後までやりぬくことを伝える名作であることに間違いありません。
絵自体、とてもシンプルで、色合いも黄色を貴重とした落ち着いたものなのですが、心に届く優しさに溢れています。
文章もとてもリズミカルで読みやすく、60年以上にわたってアメリカで読み続けられるのが頷ける作品だと思います。
絵本らしい絵本としてオススメです。