最初に読んだのは大学生ぐらいの時で、文庫で読みました。
図書館で児童書を見つけて、どんな風に挿絵が描かれているのかと興味を持ちました。
郵便屋の良夫さんは、配達先のおばあさんから、つぼとハンカチをもらいます。ただのハンカチやつぼではなく、ある呪文を唱えると、小人親子が出てきて、ハンカチに花畑を作り、つぼの中に菊酒を造ります。
おばあさんから注意されたのは、誰にも言わないこととお金儲けをしないことでした。
良夫さんは頑なにおばあさんの言いつけを守っていたのですが、良夫さんの妻・えみ子さんが気付いたところから話が展開していきます。
少しだけ少しだけと思いながら、境界線を逸脱していくえみ子さんには、人間の欲深さと弱さを感じます。
ただ、そこに巻き込まれた人間が果たして平常心でいられるのか?と思うと、ちょっと自信がない気もします。
「ハンカチの上の花畑」というロマンチックな題名からは、想像がつかない少し怖さ漂う作品です。