今から1200年以上も前、中国に実在したハン・ガンという画家をモチーフに
創作された作品。
水墨画の技法を使って描かれた絵は実にリアルで迫力があります。
ハン・ガンは貧しい家の出身でしたが、絵の才能を認められ、宮廷で学ぶまでになります。
ある日、一人の武将が噂を聞きつけ、馬の絵を描いて欲しいと頼みます。
承知したハン・ガンは、一心に描き、とうとう、馬の絵が完成し、
噂どおり、生きて絵から飛び出したのです。
ところが、武将とともに戦場に行った馬は、無敵であるにもかかわらず、
戦の場面の惨状に耐え切れなかったのです。
戦の悲哀が切々と伝わってきます。
鋭くにらむ馬の瞳が、その気持ちを生々しく語っているようです。
ハン・ガンの絵と同じく絹地に墨と絵の具で描かれており、
同じ時空を体感した思いでした。
筆や絵の具も丁寧に描かれていて、芸術的にも素晴らしいと思います。