儚げな後ろ姿が描かれた表紙を見て、心配になりながらも、読み進めていきました。
ストーリーのなかでは、主人公であるキツネさんの感情の機微が丁寧に描かれており、小鳥の声や木の傷、天候などとリンクして徐々に変化していくように感じられます。
また、思い出の場所をたどる姿などは自分を見ているような感覚にもなるとともに、自然と感情移入していました。大切な誰かを失うのは想像もしたくないことですが、避けられない現実だということ、また実際にその状況に直面したときにどのように受けとめていけば良いのかということなどについて改めて考えを巡らせました。
終盤の希望が持てる姿には、こちらも勇気をもらえた気がします。心の深い部分にじんわりと染みわたる絵本です。