10年近く前になりますが、実家の母が甥の誕生日にプレゼントした本で、「この本すごく面白いよ」と見せてもらいました。当時はまだ続編が出るなんて知らないので、完結した話として読みました。
ハラハラドキドキの内容で、いつ正体がわかってしまうのかと気が急いてどんどんページをめくりました。今までに読んだことのない新鮮な面白さがありました。
でも、私としては、この本で完結しても良かったと思っています。読み終わった後に、母や姪や甥と、この二匹が次の日に会ったらどうなるかと話し合い、皆、きっと食べられちゃうよねという意見でした。
そう、『あらしのよるに』の二匹は危険と背中合わせの、万に一つの奇跡のような時間を過ごしていたのです。嵐が過ぎれば魔法も解けて、食う者食われる者に戻ってしまうのです。そのまさに嵐の前の静けさのような時間のお話だからこそ、きらりと輝いていたような気がします。
その後続くシリーズの一大抒情詩は、それはそれで素晴らしいのですが、私としては、この最初の本だけは、別物として読みたいというのが本当のところです。