お茶の時間に現れたトラ。
トラは家にあるものを全て食べてしまい、
とうとう水道の水まで飲み干してしまう!
食べるものがなくなると、「おいとまします」と
去っていくトラ。
お風呂も入れず、食べるものもなく困っていると
お父さんが帰ってきて、外で外食。素敵なディナーの始まり!
なんだか、トラがお茶に来ること自体おかしいのに
そのトラに文句をいうどころか、尻尾なでたり頬ずりしたり
そんなトラを大切に思っていますよ、という雰囲気なのにも驚き。
とにかく非現実的で、非日常的なので
もうトラが喋ってることなんか当たり前!?みたいな気持ちに。
お父さんが帰ってきてからの機転のきいた対応といい
この家族がどこまでも幸せで心温まる雰囲気なのが良い。
子どもは、本が進むのと一緒にどんどん引き込まれて
トラが次は何を食べるのだろうか、とハラハラ。
そして最後のトラのラッパから出てくる「さようなら・・・」
がなんだか可愛くて、このトラ憎めないねみたいな。
なんだか、トラに愛情抱いてました。
とってもお勧めの本です。
ただ、大人の感覚からすると、どこか納得いかない違和感と
幸せな家族なのに、なにかしっくりこない影のような物を感じる。
どこかに暗い部分があるような・・・。
この著者はドイツ人作家の娘ですが、ナチスの手を逃れて
ドイツから逃げています。
なんとなく、何かを考えさせられる部分があるように思います。
非現実的で、非日常的なトラ。
お茶を飲んでいる幸せな家族の部屋に
普通に入ってくるトラ。
それでも、それを受け入れ笑ってしまう強さ。
そんなものも感じてしまいました。